2016.04.13 執筆
2018.03.03 公開

Q&A

Q.推しカプを出口のない部屋の中に閉じ込めました。どう行動するでしょう?

ケース1 FF13ホープ(14歳)とライトニング(軍曹)の場合

「どうしよう、ライトさん。閉じ込めらてしまいました」
 困惑に揺れるエメラルドグリーンの瞳が、ライトニングを見上げていた。目が覚めた時には扉のない真っ白な部屋の中に閉じこまれていたのだ。なぜ自分たちが、一体どうしてこんなところに。ホープから噴出した疑問は、ごくごくまっとうなものに違いないだろう。
「ライトさんはどうしてここに閉じ込められたのか分かりますか?」
「……いや、すまない。私も目を覚ました時には、すでにこういう状況だったんだ」
 申し訳なさそうに眉根を寄せられてしまう。ライトニングもどうしてこんな状況になってしまったのか、まったく心当たりがないらしい。
 ぐるりとあたりを見渡してみる。真っ白な部屋だ。入り口もなければ、出口もない。天井はさほど高さがなくて、もしかしたらスノウあたりが飛び上がったら天井に頭をぶつけてしまうかもしれない。もちろん、天井にも出口らしいものは何一つなくて、つまりはこの場所は完全な密室空間にあるといえる。
「え、ちょっとライトさん。何しようとしてるんですか」
「何って……とりあえず斬ってみようと思ったんだが」
「とりあえずの前に、せめて材質くらいは確認しましょう!?」
 目を白黒させるホープをよそに、ライトニングはさっさとブレイズエッジを構えてしまう。
「斬ってみれば分かることだ」
 キィン。がきん。鈍い音と共に、ブレイズエッジが跳ね返された。
「あのシャオロングイでさえ切り刻むライトさんの剣が……!」
 CPを溜めすぎて大変なステータスとなってしまった自慢のライトニングの剣ですら跳ね返してしまう恐ろしい壁だった。もはや材質なんて言ってられない。
「いいだろう……相手に不足はない」
 すっかりやる気になってしまったライトニングに苦笑して、ホープもまた顔を上げる。
「とにかく、脱出する術を探しましょう」
「ああ、切り刻んでやる」

A.協力して脱出しようとする





ケース2 FF13-2ホープ(27歳)とライトニング(女神の騎士)の場合

「困りましたね、ライトさん。閉じ込められてしまいました」
「……その割には全く困った顔をしていないような気がするが」
 呆れてため息を吐いたのは、ライトニングだった。扉も窓もない真っ白な箱のような個室に閉じ込められたというのに目の前の男は、開口一番にこにことそう言ったのである。ライトニングが呆れてしまうのも無理のないことだった。
「もう少し危機感を持ったらどうだ」
「危機感はどちらかと言えばライトさんに持って頂きたいですね」
「はあ?」
 何を言い出すんだ、こいつ。呆れてライトニングがホープを見上げると、彼のエメラルドグリーンの瞳と視線が交差した。
 じいっと覗き込むように見つめられている。その眼差しを見つめ返すのが居たたまれなくてライトニングはわざとそっけない態度で返事した。
「大体ここには私とおまえの二人しかいないだろう。危機感を持つという話では……」
 だん、とホープの両腕が伸びて、ライトニングを取り囲んだ。壁とホープに体を挟まれる形になって、呆気にとられて彼を見上げる。
「おい、ホープ。これは一体どういうつもりだ?」
「どうしたもこうしたも……ここまでされて、まだ分かりませんか?」
「分かるも何も……っ」
 つつ、とホープの指先が伸びてきて、ライトニングの顎を撫でる。その、何かを期待する動きにライトニングはぎくりと体を強ばらせた。
「……はやく、ここから脱出しなければ」
「ええ、脱出しましょう。でも、せっかく二人きりになったんですから」
 ――少しは楽しまないと。至近距離に迫った笑顔に、ライトニングが逃げ場を探す。しかし、すでにホープの腕の中だ。今更もがこうが手遅れだと気が付いて、ライトニングは顔を引きつらせた。

A.ホープが口説きモードに入る





ケース3 LRFF13ホープ(観測者)とライトニング(解放者)の場合

「閉じ込められてしまいましたね。これも神の狙いなのでしょうか?」
 真っ白な壁を見上げてホープは言った。ライトニングもいい加減慣れてきたのか、白い壁をぼんやりと見つめている。混沌に引きずり込まれたり、女神の騎士として戦ったり、神のしもべになったりと、とんでも展開に巻き込まれすぎて、閉じ込められた程度では正直動じなくなってきている。
「なんだか箱舟に似ていますね、この雰囲気」
「言われてみればそうだな。余計なものが何もなくて、清潔な環境。確かに、似ている」
「白色は何色にも染まる、清らかで無垢な色とされることもありますからね。神の拠点にはふさわしい色だったのでしょう」
 まあ、それは置いておいて。ここも時間の流れがノウス=パルトゥスとは違っているとは言え、いつまでものんびりしているわけにはいきません。
 淡々と事務的にホープは口にして、手のひらをかざしてみせた。すると、ぽうっと小さな炎がその手のひらに宿る。
「おまえが魔法を使うのは久しぶりに見たな」
「そう言えばそうですね。……何百年ぶりかな」
 手のひらの炎を眺めて、ホープはぽつりとそう言った。
 かつてライトニングと共に旅した時は、当たり前のようにあらゆる場面で使ってきた力だ。いつしかすっかり使うことはなくなって、それが当たり前になっていた。だから改めて指摘されて、ホープは自分でも驚いたような口調になったのだ。
「懐かしいですか?」
「……そうだな。少し、懐かしい」
「そうですか」
 炎のゆらめきの中にライトニングとホープの顔が映り込む。かつてグラン=パルスで焚き火を囲んだこともあった。あれからずいぶんと遠いところに来てしまったものだ。
 感傷に浸れそうな場面ではあったものの、今や心が欠落してしまったホープにとってはどこか他人事な過去の話だ。それでも妙に、温かく胸を震わせるのは、かつての想いの一部が呼び起こされているからだろうか。
「――風が、流れています。ほら、炎が揺れている。出口はありませんが、この部屋は完全な密室というわけではありません」
 手の中の炎をライトニングに見せて、ホープは淡々と告げる。
「あの角、あそこから風が流れています。試しに二人でルインガで衝撃を加えてみましょう」
「分かった」
 お互い手を伸ばして、タイミングを見計らう。
 その懐かしさに、一度だけ胸に手を置いて。ホープは静かに息を吐いた。

A.脱出する
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