2018.07.14 執筆
2018.09.24 公開

もみもみ

 「何をするんですか! やめてください!」
 羽交い絞めをおみまいされたホープが悲鳴のような声を上げる。そんな彼の悲痛な声を聞かなかったことにして、ライトニングはずるずると彼を寝室に引っ張っていった。問答無用という言葉が相応しい。
「もういい加減にしろ」
 そのまま長身の彼を、持ち前の腕力で強引にベッドの上に放り投げる。「ああっ」という情けない声を上げて、彼は呆気なくベッドに投げ出された。その上に、ほとんど馬乗りのような格好になってライトニングが圧し掛かる。
「覚悟しろ」
 有無を言わさぬ彼女の口調は、まさに怒った時のそれだ。眼前に迫ってきた整った顔を前にホープが目を白黒させる。――そして。
「あっ……、んっ、待って、ライト、さん……っ」
「待たない。というか溜めすぎだ」
「はっ……ううん、くっ……」
「ここなんてコリコリになっている」
「あっ、ちょっと待ってくださ……っあ……!」
 熱っぽい吐息が零れ落ちる。苦悩の表情の彼に馬乗りになったまま、ライトニングはため息を吐く。
「どうしてこんなに凝りが酷くなるまで放っておいたんだ」
 激務の彼のために、それはそれは丁寧な(凝り返しがひどい)マッサージが、それから三十分ほど続いたのは言うまでもない。
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